突然ですが、あなたは「自分がいなくなったあと、家族が困らないように準備できている」と胸を張って言えますか?
「もし自分に何かあったとき、家族が困らないようにしておきたい」
そんな思いから昨今注目を集めているのが “エンディングノート”です。
私がエンディングノートの大切さを実感したのは、祖父が亡くなった時でした。
祖父はとても元気で、毎日カメラを持って散歩に出かけたり、老人会の仲間と旅行の予定を立てたりしていました。
亡くなる1週間前には東京旅行も控えていて、誰もが「まだまだ長生きする」と信じていたのです。
しかしある日突然、祖父は天国へ旅立ちました。
そこから始まったのは、家中を探し回る日々です。
祖父は家計のすべてを一人で管理していたため、祖母は通帳の保管場所も、どこの銀行に口座があるのかも、何もわからない状態でした。
「銀行はどこ?」「証券会社の口座は?」「保険に入っていたの?」「クレジットカードはこれで全部?」
毎日、祖父の机の引き出しや棚、書斎の書類を両親が必死になって探していました。
携帯電話や電気・ガス・水道などの名義変更をしようにも、契約書がどこにあるのかすら不明。
封筒や古い書類を一つひとつ開けて確認するしかありませんでした。
この経験がきっかけで、「エンディングノートって、残された家族にとって本当に大事なんだ」と強く感じました。
名前は聞いたことがあっても、どんなことを書くのか、遺言書とは何が違うのか…
今回は、初めての方にも分かるようにエンディングノートの基本をやさしく解説します。
エンディングノートとは?
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自分の人生や想いを記録し、家族に伝えるためのノート
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医療・介護・葬儀・財産など、将来に関する希望を書き残す
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「法的効力」はないが、「心の遺言」として家族を助ける役割を持つ
つまり、エンディングノートは「家族のための道案内書」であり、法律に縛られず自由に書けるのが魅力です。
書くタイミングとコツ
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病気や高齢になってからではなく、元気なうちに書くのが理想。
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1度に完璧を目指さず、思いついたときに少しずつ書く。
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数年ごとに見直す(家族構成・財産状況が変わるため)
- ノートの保管場所を家族に伝える
形式は自由ですが、基本的に次のような項目を整理しておくと、家族が助かります。
①基本情報…氏名、生年月日、連絡先、マイナンバー、勤務先など
②医療介護…延命治療を希望するのか、どんな介護を受けたいかなど
③財産・解約内容…銀行口座、保険、年金、不動産、借入金、クレジットカード、電子マネーを一覧化など
④葬儀・お墓…葬儀の形式(家族葬・無宗教式など)、喪主にお願いしたい人、お墓・納骨方法など。宗教や希望を明記するなど
どうやって始めればいいの?と思われる方も、まずはノートに書いてみましょう。
また、無料でダウンロードできるひな形や資料も活用できます。
例えば、日本司法書士会連合会と法務省が共同で作成した「エンディングノート」は、相続・遺言・後見などの情報も平易に整理されており、ダウンロードしてそのまま使えるひな形です。
このような資料を使えば、「何を書いたらいいかわからない…」という壁も少し低くなるのではないでしょうか。
祖父のことをきっかけに、「エンディングノートは“死のための準備”ではなく、“今を整えるノート”なんだ」と感じ、
今回エンディングノートについてブログを書かせて頂きました。
家族が困らないように、自分の想いを伝えられるように皆さんもぜひ書いてみてはいかがでしょう。
その際「これで本当に大丈夫かな?」「遺言書や相続のことも相談したい」とご不安やご質問等ございましたら
お気軽に当事務所までご相談くださいませ。
豊田市の司法書士
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スタッフ 髙原