「不在籍証明書」や「不在住証明書」は、普段ではあまり聞きなれない書類かと思います。
そこで今回は、これらの書類がどのような時に必要になるのかについてご紹介させていただきます。
「不在籍証明書」や「不在住証明書」が必要になるケース
「不在籍証明書」や「不在住証明書」が必要になるケースは「相続登記」や「住所変更登記」の場合です。
「相続登記」とは、不動産の所有者が死亡した場合に、所有者を相続人の方へ移転するための登記のこと。
「住所変更登記」とは、登記簿に登記されている住所から引っ越しをした場合に行う登記のこと。
を指します。
「不在籍証明書」や「不在住証明書」が必要になる例
ここでは、上記に記載した「住所変更登記」を例にあげて説明させていただきます。
(例)登記簿に登記されているAさんの住所は豊田市となっていますが、引っ越しを繰り返し現在の住所は岡崎市です。
本来であれば、住所を変更した時点で法務局へ「住所変更登記」を申請する必要があります。
しかし、Aさんは豊田市から岡崎市に引っ越すまでの間に1度も住所変更登記をしていませんでした。
この場合、法務局へ住所変更登記の申請を行うには、添付書類として豊田市~岡崎市に引っ越したことがわかる書類が必要となります。
当該書類としては、以前ブログでもご紹介させていただいた戸籍の附票等が該当しますが、これらの書類には役所における保管期間があり、
*保管期間を経過すると廃棄され、取得することができなくなります。
※各自治体によって廃棄されるタイミングが異なる為、詳しくは市区町村役場にお問合せください。
*保管期間は、令和元年6月20日から住民基本台帳法の一部が改正され、住民票の除票及び戸籍の除附票が5年間から150年間保存することとされています。
住所の履歴が記載されている戸籍の附票に関しては、分籍や転籍等が多いと保存期間を経過して破棄されている場合が多く、結局住所の繋がりを証明することができません。
その場合、法務局側で登記簿上のAさん(豊田市)と現在岡崎市に住んでいるAさんが同一人物であるとの確認が取れなくなり、登記手続きを進めることができません。
そこで必要となる書類が「不在籍証明書・不在住証明書」です。
「不在籍証明書」・「不在住証明書」とは
「不在籍証明書」…申請書に記入した本籍・氏名について、戸籍、除籍、改正原戸籍に記載がないことを証明します。
戸籍、除籍、改正原戸籍に該当があると、証明書を発行できません。
「不在住証明書」…申請書に記入した住所・氏名について、住民票の除票に記載がないことを証明します。
住民票、住民票の除票に該当があると、証明書を発行できません。
どちらの書類も、管轄の各市町村の役所や役場で発行することができます。
「不在籍証明書・不在住証明書」を上記の(例)で考えると、
「Aさんは確かに登記簿上の住所(豊田市)に住んでいました。そして現在、登記簿上の住所(豊田市)と同じ住所・本籍においてAさんという人物は実在していません。
よって、登記簿上のAさん(豊田市)は岡崎市のAさんと同一人物である可能性が高い。」という事を証明する書類になります。
言い方を変えると、
「現在、登記簿上の住所(豊田市)にAさんという者は住んでませんし、本籍も有していない。」
そのため、「登記簿上に登記されている豊田市のAさんは、岡崎市に住んでいるAさんで間違いないよね。」という事になります。
この書類を添付することで、法務局は登記手続きを進めてくれる事が多いですが、法務局によっては他の必要書類の提出を求めてくる場合もあるため注意が必要です。
「相続登記」や「住所変更登記」についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
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スタッフ 丹羽