遺産分割における代償分割とは、
「誰か1人が不動産等の財産を相続し、他の相続人に対して現金を支払う」という方法で、不動産等の分割しにくい遺産を相続した際に行われる分割方法です。
その際に不動産等を取得した相続人が他の相続人に支払う現金のことを“代償金”と言います。
☆代償分割のメリット
・遺産を現物のまま残すことができる
代償分割を採用すれば、遺産を処分することなく現物のまま残すことが可能になるので、
先祖代々に渡って受け継がれてきた建物、想い出の深い品などを処分する必要がありません。
・公平な遺産分割が可能となる
遺産を現物のまま残すだけなら現物分割でも可能ではありますが、現物分割では遺産の価値の偏りによって公平な遺産分割を実現するのが難しいケースが多いものです。
代償分割であれば、代償金の支払いによって相続人間の公平を実現することが可能となります。
・相続税を節税できる効果がある
代償分割は、遺産の中に土地や建物といった不動産が占める割合が高いときに採用されることが多いです。
不動産は高価なので相続税がかかるケースもあります。
”居住用の宅地”や”事業用の土地”を相続する際には、「小規模宅地等の特例」という減税制度が適用できる場合があります。
この制度を適用できれば、宅地の評価額が最大で80%減額されるので、大きな節税効果があります。
☆代償分割のデメリット
・不動産を相続した人が代償金を支払うことができなければ代償分割は不可能
代償分割で特定の遺産を取得した人は、他の相続人へ代償金を支払わなければなりません。
例えば、5,000万円の自宅を1人の相続人が取得する場合、相続人が他に2人いるのであれば1人の相続人に対して2,500万円の代償金を支払う必要があります。
代償金を支払えない場合は、自宅の取得は諦めて他の相続人に譲るか、他の方法などで遺産分割をしなくてはなりません。
・遺産の評価額で揉めるケースがある
代償分割を採用すると、特定の遺産を取得した人が他の相続人に対して代償金を支払う必要があります。
その際に、遺産の価値をいくらで評価するかによって代償金の金額が変わります。
不動産の価格については相続税の評価額によるのが一般的が、他の方法により、算定されることもあります。
代償金を払う相続人にとっては遺産の評価額が低いほど有利になりますが、代償金をもらう相続人にとっては逆に高いほど有利になります。
そのため、評価額をめぐって揉めるおそれがあります。
☆代償分割をするうえでのポイント
・遺産分割協議書を作成する
代償分割で遺産分割を行う場合、遺産分割協議をすることが必要不可欠の為、
遺産分割協議がまとまったら、”遺産分割協議書”を作成しましょう。
誰がどの遺産を取得するかだけでなく、代償金の支払いについても遺産分割協議書の中に明記しておくことが重要です。
次回は “換価分割” についてご紹介させていただきます。
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スタッフ 丹羽