
以前のブログで、株式会社の機関についてご紹介いたしました。
今回は、機関の1つである「取締役」について、概要をご紹介いたします。
取締役とは
取締役は、株式会社における機関の中でも、会社経営の方向性を決める役割を担っています。株主から会社の業務執行を任される立場にあることから、重い責任や多くの義務などが取締役には課されています。
取締役や役員とよく似た呼び方
「役員」という言葉は、日常的には経営幹部を担う方々を示す用語として使われています。
しかし、会社法においては、
「役員」=取締役、会計参与、監査役
上記の3者を役員として扱っています。
取締役の業務執行
取締役の仕事は会社の業務執行を担当することです。
取締役会を設置している場合は、業務執行の決定を取締役会が行い、その決定に基づき、代表取締役、それ以外で取締役会決議により指名された取締役が業務を執行します。
この場合の取締役を「業務執行取締役」といいます。
取締役を選任するには
取締役は、原則、株主総会の普通決議により選任されます。
※株主総会の普通決議の成立要件
・議決権の過半数の株主が出席していること
・出席した株主のうち、議決権の過半数の賛成を得ること
選任の効力は、株主総会での選任の決議後、取締役が就任を承諾したときに発生するとされています。
取締役の資格がない人(欠格事由)
下記①~③に該当する場合、会社法により取締役になることができません。
①法人
②会社法、一般社団・財団法人法、金融商品取引法、倒産法に定めた一定の罪を犯し、刑
に処せられて執行を終えた日または執行を受けなくなった日から2年を経過していない者
③②に定める法律以外の法律に基づく犯罪を犯し、禁錮以上の刑に処せられて執行を終えていない、または執行を受けないことになっていない者
取締役の任期
会社の規模や仕組みにより、以下のような違いがあります。
【原則】
選任後2年以内の最終の決算期に関する定時株主総会の終結時までとなります。
定款の定め、株主総会の決議によって任期を短縮することも可能です。
【非公開会社(指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社を除く)の場合】
原則と同じですが、定款の定めにより、選任後10年以内の最終の決算期に関する定時株主総会の終結時まで伸長することが可能です。
【指名委員会等設置会社の場合】
原則として選任後1年以内の最終の決算期に関する定時株主総会の終結時までとなります。
定款の定め、株主総会の決議によって任期を短縮することも可能です。
【監査等委員会設置会社の場合】
監査等委員以外の取締役の場合は、選任後1年以内の最終の決算期に関する定時株主総会の終結時までとなります。
定款の定め、株主総会の決議によって任期を短縮することも可能です。
一方で、監査等委員である取締役の場合は、選任後2年以内の最終の決算期に関する定時株主総会の終結時まで、となります。この場合、短縮することができません。
取締役の報酬の決定方法
法令により、以下の方法で決定することとされていますが、指名委員会等設置会社以外と指名委員会等設置会社とで異なります。
【指名委員会等設置会社以外の場合】
①定款の定めがある場合、定款の定めに従います。
②定款に定めがない場合、株主総会で以下の通りに定めます。
・報酬のうち額が確定しているものは、その額
・報酬のうち額が確定していないものは、その算定方法
・報酬のうち金銭でないものは、その具体的な内容
【指名委員会等設置会社の場合】
取締役の個別の報酬について、報酬委員会が決定します。
取締役については、商業登記での登記事項になっており、選任、登記が遅れると過料になる場合もございます。
弊所では、商業登記のご依頼も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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スタッフ 藤川