会社の取締役の氏名は、原則として戸籍上の氏名で登記しなければならないとされています。
ただ、現実には結婚などで姓が変わっても、仕事上は旧姓のまま活動を続ける方も多いですよね。
こうした実務上の不都合を解消するために設けられたのが、「旧氏(旧姓)の併記制度」です。
◆制度ができた背景
この制度は、段階的に整備されてきました。
平成27年改正(商業登記規則)
→ 婚姻前の氏(旧姓)を登記に併記できる制度がスタート
令和4年改正(商業登記規則)
→ 併記できる旧氏の範囲が拡大(婚姻前に限定されない)
→ 登記申請時以外の申出も可能に
現在は、戸籍で確認できる旧氏であれば柔軟に対応可能となっています。
◆登記簿の表示はどうなる?
旧氏の記録を申出すると、登記簿には次のように表示されます。
山田花子(佐藤花子)
◆どんな旧氏でも記録できるの?
過去にすでに旧氏の記録がある場合には、
「最後に記録されていた旧氏より後に使っていた旧氏」だけが対象となります。
◆ 申出のタイミング
旧氏の記録の申出は、大きく分けて次の2つのタイミングで行えます。
① 就任・重任の登記と一緒に行う
取締役の就任(または重任)の登記申請の際に一緒に記載する方法です。
② 登記とは別に単独で申出する
令和4年の改正により、 登記申請のタイミング以外でも単独で申出が可能になりました。
◆具体的な必要書類
申出の際には、旧氏を証明する書類の提出が必要です。
単に1通の戸籍だけでは足りず、 旧氏が記載されている戸籍から、現在の氏につながるまでの流れがすべて確認できる書類を用意し、「この人は同一人物で、確かにこの旧氏を使っていた」と証明できる状態にする必要があります。
なお、住民票やマイナンバーカード、運転免許証に既に併記されている旧氏と同じ旧氏の併記を希望する場合には、これらの写しでも足りる場合があります。
◆取締役の再任時、再度の旧氏の申出は不要
原則:再度の申出は不要
すでに旧氏が登記簿に記録されている場合、再任の際に改めて申出をする必要はありません。特別な手続きをしなくても、これまでどおり自動的に旧氏が併記された状態で登記されます。
例外:旧氏が消えるケース
ただし、次のような場合は例外です。
① 旧氏をやめたいと申し出た場合
→ 「旧氏の記録を希望しない」と申出すれば、併記はされません。
② 戸籍上の氏と旧氏が同じになった場合
→ 例えば復氏などで、現在の氏が旧氏と一致したケースです。
この場合は、そもそも併記の意味がなくなるため表示されません。
◆ ご相談について
「自分のケースで旧氏が記録できるのか知りたい」
「必要書類を具体的に確認したい」
「登記とあわせてスムーズに進めたい」
といった場合は、お気軽にご相談ください。
状況に応じて、最適な手続きの進め方をご案内いたします。
弊所では、不動産登記・商業登記をはじめ、各種登記手続きに関するご相談を承っております。
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スタッフ 上村