以前のブログで住宅ローンの抵当権抹消登記をする際に、抹消書類に記載の抵当権者の代表者が変更されている場合、どのように対応したらよいかを説明させていただきました。
その際のブログがこちらです。
今回は抵当権者である金融機関や保証会社が、住宅ローンを全額返済する前(抹消登記をする前)に、合併によりその名称等に変更が生じた際の手続きについて説明したいと思います。
【例題】
①平成20年2月20日に、Aさんが株式会社B銀行より住宅ローン2,000万円を借入。
その際、抵当権者である株式会社B銀行が、Aさん所有の不動産に順位1番で抵当権を設定しました。
②令和6年5月1日に、Aさんが住宅ローンの全額返済をした為、この抵当権は消滅。
③令和6年6月15日、株式会社B銀行は、この抵当権の抹消登記をしないうちに、株式会社C銀行に吸収合併された。
Aさんは、これから抵当権の抹消登記をしたいが、どうしたらよいか。
【手続のポイント】
抵当権抹消登記の原因日付が、抵当権者の合併の効力発生日の「前」か「後」によって、抵当権の移転登記が必要になるかどうかが異なります。
抵当権者である株式会社B銀行が合併前に、Aさんが住宅ローンの返済をし、抵当権は消滅したが抵当権の抹消登記をしていなかった場合、合併後存続する会社は消滅会社が負っていた抹消登記義務を承継することになります。したがって、合併前に弁済した場合は、抵当権移転登記をする必要はありません。
移転登記は必要ありませんが、登記申請時には以下のような注意点があります。
◆登記申請書の記載上のポイント
※義務者として、抹消登記義務を承継した存続会社株式会社C銀行の本店と商号を記載し、被合併会社株式会社B銀行を括弧書きして、その承継会社であることを記載する。
※合併証明書…合併があったことを証明する情報を添付するのですが、原則として会社法人番号を提供すれば良いので、実際には書類の添付は必要ありません。上記の合併証明書の欄は、「変更証明書(添付省略)」と記載すれば大丈夫です。
今回は債務者Aさんが、抵当権者である株式会社B銀行が吸収合併される前に住宅ローンを全額返済したケースについて説明させていただきました。ちなみに、株式会社B銀行が吸収合併された後に住宅ローンを全額返済した場合は、合併後の存続会社が抵当権移転登記をした上で抵当権の抹消登記を申請することになります。こちらの手続きについては、また後日説明させていただきたいと思います。
抵当権抹消手続に関してご不明点がございましたら、いつでもお気軽にお問合せ下さい。
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スタッフ 倉橋