2025年1月27日 9:00 am

取締役と会社が関わる取引のうち、会社に不利益を与えるおそれがある取引を利益相反取引といいます。

 

利益相反取引には、次の形があります。

 

【直接取引】

会社が行う取引によっては、取締役が持っている資材を会社に売る場合などのように、取締役個人と会社との間で行われるもの

 

【間接取引】

取締役自身ではない第三者と会社との間で行われる取引の中で、実質的に見て会社と取締役との利益が相反するもの

 

 

必要な手続き

①取引について承認を受ける

利益相反取引は、取締役会(取締役会設置会社の場合)または株主総会(取締役会非設置会社の場合)に、取引についての重要な事実を示して承認を受けなければなりません。

 

②取締役会設置会社の場合は、事後報告を行う

取締役会設置会社の場合は、取引後も、遅滞なく取締役会にその取引についての重要事実を報告しなければいけません。

 

 

承認を得ないで利益相反取引を行った場合

その利益相反取引は原則として無効となります。

しかし、事情を知らないで取引に関して利害を持った第三者を保護するため、会社はそのような第三者に対して無効を主張することはできません。

事後的に取締役会の承認を得ることができれば、承認前も承認後もその取引は有効になります。

 

 

承認を受けたが、会社に損害を与えている場合

たとえ承認を受けた利益相反取引でも、その取引が結果として会社に損害を与えている場合、取締役の任務懈怠(本来行うべき取締役としての任務を怠ること)が推定されることになります。

さらに、直接取引については、たとえ落ち度はなかった(無過失であった)としても、取締役は会社に対して損害賠償責任を負います。取締役会での承認の際に賛成した取締役も利益相反取引を行った取締役と連帯して責任を負う場合があります。

 

 

利益相反取引の例

利益相反取引に該当するものとして、次のようなケースがあります。

 

①取締役・会社間の有償譲渡(売買等)

取締役と株式会社との間における財産権の有償譲渡は、そのいずれが譲渡人になるかにかかわらず、承認が必要になります。

 

②担保権の設定

例えば、株式会社の代表取締役個人を債務者として会社所有の不動産に根抵当権を設定するには、承認が必要になります。

 

 

登記申請の場合

取締役と会社間における利益相反取引では、登記申請の際に、それぞれ次の書類を他の必要書類と合わせて提供しなければなりません。

・取締役会設置会社の場合:取締役会議事録

・取締役会設置会社以外の会社の場合:株主総会議事録

 

 

以上、利益相反取引についてのご案内でした。

 

利益相反取引では、承認が必要であったり、関わった取締役に責任が発生したりなど注意が必要です。ぜひ今後のお取引の参考にしてみてください。

 

弊所では商業登記、不動産登記を取り扱っておりますので、ご不明な点などございましたらぜひご相談ください。

 

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スタッフ 藤川