2025年2月3日 9:00 am

遺産分割協議書は、共同相続人全員の合意の下で作成する必要があります。

相続が発生した場合、相続人が海外に居住していることもあります。この場合でも、被相続人の遺産分割については国内法である民法が適用されますから、相続人全員が遺産分割協議に参加しなければなりません。もし、海外にいるとの理由だけで、その海外にいる相続人を除外した遺産分割協議を行っても、それは無効となってしまいます。

 

遺産分割協議書には相続人の実印と印鑑証明書が必要になりますが、日本に住所登録をしていない海外居住者(相続人)には、印鑑証明書が発行されないため、下記の書類が必要になります。

 

◆相続人が海外にいる場合の遺産分割における必要書類

 

➀印鑑証明書に代わる「署名証明書」

現地の日本大使館又は領事館で「署名証明書(サイン証明書)」を発行してもらいます。

 

〇署名証明書とは?

日本に住民登録をしていない海外に在留している方に対し、日本の印鑑証明書に代わるものとして日本での手続のために発給されるもので、申請者の署名及び拇印が確かに領事の面前でなされたことを証明するものです。

日本での住民登録を抹消して外国にお住まいの方は、住民登録抹消と同時に印鑑登録も抹消されてしまいます。そのため法務局や銀行等では、海外に在留している日本人には印鑑証明に代わるものとして、署名証明の提出を求めています。

 

〇証明の方法

本人が遺産分割協議書を持参し、領事の面前でその署名欄に署名・拇印をし、領事が発行した署名証明書を遺産分割協議書に合綴し、領事に割印をしてもらう必要があります。なお、相続人が多数いて、遺産分割協議書の紛失や破損のおそれがあるときなどは、各人ごとに同じ内容の遺産分割協議証明書を作成し、個別に署名・拇印をするという方法もあります。

 

〇遺産分割証明書とは

以前のブログでご説明しておりますので、こちらをご参照ください。

遺産分割協議証明書について

 

〇発給条件

・日本国籍を有する方のみ申請ができます。

・領事の面前で署名・拇印を行わなければならないので、申請する方本人が公館へ出向いて申請することが必要です。代理申請や郵便申請はできませんので御注意ください。

 

〇必要書類

・日本国籍を有していること及び本人確認ができる書類(有効な日本国旅券等)

・遺産分割協議書又は遺産分割協議証明書

(注)署名・拇印は領事の面前で行う必要があります。

 

 

②住民票に代わる「在留証明書」

現地の日本大使館又は領事館から住民票に代わる「在留証明書」を発行してもらいます。

 

〇在留証明書とは?

外国に住む日本人がどこに住所(生活の本拠)を有しているか、又は、どこに住所を有していたかをその地を管轄する在外公館が証明するものです。在外邦人は、国内に本籍が残っていたとしても、戸籍の附票にも住民票にも、居住する外国の住所は記載されていません。そこで、住所を証明する書類として「在留証明書」が必要になります。

 

〇発給条件

・日本国籍を有する方(二重国籍者を含む)のみ申請ができます。

・現地に既に3か月以上滞在し、現在居住していること。ただし、申請時に滞在期間が3か月未満であっても、今後3か月以上の滞在が見込まれる場合には発給の対象となります。

・原則として日本に住民登録がないこと。

・証明を必要とする本人が公館へ出向いて申請することが必要です。

 

〇必要書類

・日本国籍を有していること及び本人確認ができる書類(有効な日本国旅券等)

・住所を確認できる文書(例:現地の官公署が発行する滞在許可証、運転免許証、納税証明書、公共料金の請求書等で住所の記載があるもの、現地の警察が発行した居住証明等)

・滞在開始時期(期間)を確認できるもの。

 

詳細は証明を受けようとする在外公館のホームページ等で御確認ください。

 

弊所では、遺産分割協議書・遺産分割協議証明書の作成や、相続の登記手続きのご相談を承っております。

 

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スタッフ 上村