
個人が農地を売買するためには、原則として、その農地の所在する市町村の農業委員会に申請し、許可を受ける必要がありますが、この手続き中に売主又は買主が死亡してしまうケースもあります。その場合、許可申請の効力はどうなるのでしょうか。
◆売主の死亡
事例1:農地法の許可申請後・許可前に売主が死亡したケース
農地法所定の許可がある前に売主が死亡しても、許可手続きはそのまま進めることができ、許可も有効です。この場合、許可前の売主の死亡により、買主への所有権移転の前に売主に相続が生じていることから、まず売主の相続人への相続登記をし、その後に許可書を添付して相続人と買主から売買による所有権移転登記の申請を行います。この申請に添付する許可書は死亡した売主名義のものとなります。
事例2:農地法の許可書到達前に売主が死亡したケース
農地の売主が農地法所定の許可があった後に死亡し、その後に許可書が到達する前に売主が死亡した場合は、当該許可は有効となります。
事例3:農地法の許可書到達後に売主が死亡したケース
農地法所定の許可書が到達した後に売主が死亡した場合、買主への所有権移転登記は、売主の相続人全員と買主とで申請を行います。売主の相続人中の一人と買主から申請することはできません。
◆買主の死亡
事例1:農地法の許可申請後・許可前に買主が死亡したケース
農地法所定の許可がある前に買主が死亡した場合、その後に買主に対してされた許可は無効であり、当該許可書を添付した所有権移転の登記申請は受理されません。
事例2:農地法の許可後に買主が死亡したケース
農地法所定の許可後(許可書到達後)、所有権移転登記を申請するまでの間に買主が死亡した場合、その許可は有効となります。
事例3:農地法の許可書到達後に買主が死亡したケース
農地法所定の許可書が到達したが、所有権移転登記をしないで買主が死亡した場合、買主の相続人に直接所有権移転登記をすることはできません。この場合、買主の共同相続人の一人から被相続人(買主)を所有権登記名義人とする所有権移転登記を申請することができます。
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スタッフ 上村