
遺産分割協議は、共同相続人全員の合意で成立しますが、法律上は書面で合意することは要求されておらず、口頭での合意も理論上は可能です。
しかし、口頭の合意だけでは、後で合意内容について疑義が生じ紛争が蒸し返されたり、不動産の移転登記を行えないなど事実上の不都合が発生します。
そのため、遺産分割協議が調った場合には、共同相続人の全員がその内容に合意していることを確認する趣旨で、遺産分割協議書に共同相続人全員が署名押印します。
共同相続人全員の署名押印を要する遺産分割協議書の作成が難しい事情があるときには、これに代えて、各相続人が遺産分割協議の内容が間違いないことを証明する遺産分割協議証明書を作成する方法があります。
各相続人が署名押印した遺産分割協議証明書が全員分揃えば、遺産分割協議書と同様に、不動産登記や預金の払戻しなどの相続手続を行うことができます。なお、遺産分割協議証明書の場合、各相続人が署名押印した遺産分割協議証明書のうち、最も遅い日付が遺産分割協議の成立日と取り扱われます。
遺産分割協議証明書は、上記の他「遺産分割協議書を作成する前に相続人が死亡した場合の証明書」としても使用されます。
こちらの内容については、以前のブログでもご説明しておりますので、手続きについてはこちらをご参照ください。
例えば、父Aさんが死亡した後で、母B、子C及び子Dで遺産分割協議をし、父Aの不動産を母Bが取得する合意がされたものの、その遺産分割協議書を作成する前に母Bが死亡したときは、子C及び子Dにおいて、被相続人Aの第一次相続について次のような遺産分割協議証明書(後記例のとおり)を作成することになります。
【遺産分割協議証明書例】
署名押印欄には、各相続人がどの被相続人の相続人として署名・押印しているかが判明するように、肩書として「相続人兼母Bの相続人」というように記載することが一般的です。
弊所では、遺産分割協議書・遺産分割協議証明書の作成や、相続の登記手続きのご相談を承っております。
こちらの件について気になる点やご質問などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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スタッフ 倉橋