2026年7月6日 9:00 am

前回の記事では、遺言執行者の基本的な仕事内容や指定するメリット、選び方についてお伝えしました。

前回記事はこちらをご覧ください。

遺言執行者とは?

 

今回はさらに踏み込んで、遺言執行者がどのように「指定」され、「就職」するのか、その仕組みを解説します。

 

遺言執行者の指定方法

遺言による指定
遺言執行者は、遺言の中で指定することができます。
遺言者が生前に「この人に遺言の執行をお願いしたい」と考える人物を遺言書の中に明記しておく方法で、最も一般的な指定方法です。

 

指定を第三者に委託することも可能

遺言執行者の指定は、遺言者が直接行うだけでなく、第三者に委託することも認められています。
たとえば「〇〇司法書士に遺言執行者の選定を一任する」というように、遺言の中で特定の第三者に指定の権限を委ねることができます。
これは、遺言作成時点では最適な執行者が定まらない場合や、将来の事情の変化に柔軟に対応したい場合に有効な方法です。

 

遺言執行者の就職

承諾したら直ちに任務を開始
遺言執行者として指定された人が、その役割を正式に引き受けることを法律上「就職」といいます。一般的な就職とは意味が異なり、遺言執行者としての任務を開始することを指します。就職を承諾した遺言執行者は、遅滞なく遺言執行に必要な調査や財産目録の作成などに着手しなければなりません。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し、その実現のために相当かつ適切と認める行為をすることができます。

 

遺言執行者が複数いる場合

遺言執行者が複数ある場合には、保存行為は各遺言執行者が単独で行うことができますが、その他の任務の執行は遺言執行者の過半数で決します。
ただし、遺言者が遺言により、各遺言執行者が単独で執行できる旨や各遺言執行者の権限の範囲を指示する旨等の意思表示をすることも可能です。

 

遺言執行の流れ

遺言執行者に就職してから任務完了までの流れは、大きく以下のステップで進みます。

 

① 就職の承諾・通知
就職を承諾した場合、遅滞なく相続人全員に対して遺言執行者に就職した旨及び遺言の内容の通知をしなければなりません。
また、遺言執行者は受遺者に対しても、遺贈を承認するか放棄するかを判断してもらう必要があるため、速やかに遺言の内容や遺言執行手続きの一連の流れを説明する必要があります。

② 相続人の調査・相続財産目録の作成
就任後、遺言執行者はまず相続財産の目録を作成し、相続人に交付しなければなりません。
財産目録には、不動産・預貯金・有価証券・その他の財産を漏れなく記載します。

③ 遺言内容の執行
財産目録の作成が完了したら、いよいよ遺言の内容を実現するための手続きを進めます。
財産の種類によって必要な手続きは異なります。

④ 執行完了の報告
すべての手続きが完了したら、遺言執行者は相続人及び受遺者に対して執行の経過と結果を報告する義務があります。
報告をもって、遺言執行者の任務は終了となります。

 

執行手続きの内容 ~不動産の場合~

遺言によって不動産を相続人または受遺者に移転する場合、法務局での所有権移転登記が必要です。遺言執行者が選任されている場合には、その権限に基づいて所有権移転登記の手続きを進めることができます。遺贈(相続人以外への贈与)の場合、受遺者は登記をしなければその権利取得を第三者に対抗することができません。
また、遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができます。
なお、登記手続きの詳細は、遺贈の態様や当事者の状況によって異なります。具体的な手続きについては、司法書士などの専門家にご相談ください。

 

遺言執行者の権限と相続人との関係

相続人は財産を勝手に処分できない
遺言執行者が選任されると、相続人は相続財産を勝手に処分することができなくなります。
相続人が遺言執行者の権限を侵害するような処分行為を行った場合、その行為は無効となる場合があります。

 

遺言執行者は相続人のために行動する

遺言執行者は、相続人の意思とは独立して権限を行使できる立場にありますが、あくまでも遺言者の意思を実現するために職務を行う立場にあります。

 

 

まとめ

遺言執行者には、財産調査や名義変更手続き、相続人への通知など、多くの役割があります。
また、誰を遺言執行者に指定するかによって、相続発生後の手続きの進み方が大きく変わることもあります。
遺言書を作成する際には、遺言の内容だけでなく、遺言執行者を誰にするかについても十分に検討しておくことが大切です。
当事務所では、遺言書作成や相続に関するご相談を承っております。
遺言書の作成や、相続・遺贈等の手続きでお困りの際には、いつでもお気軽にお問い合わせください。
メール・公式LINE・お電話にてお問い合わせいただけます。

 

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スタッフ 上村