不動産の登記を行う際、「農地法の許可が必要」と言わることがあります。
農地に関わる登記は、他の土地とは異なり、法律上の制限が厳しく設けられています。
本記事では、農地法の基本から、どのようなケースで許可が必要になるのか、許可を取らずに登記するとどうなるのかまで、わかりやすく解説します。
過去の農地に関するブログ記事は以下をご参照ください。
🐸農地法とは?登記との関係
◆ 農地法の目的
農地法は、昭和27年に制定された法律で、農地の無秩序な転用や投機的取引を防ぎ、農業の健全な発展を守ることを目的としています。
そのため、「誰が農地を所有できるか」「どのように使えるか」について厳しく制限されています。
農地法(目的)
第一条 この法律は、国内の農業生産の基盤である農地が現在及び将来における国民のための限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源であることにかんがみ、耕作者自らによる農地の所有が果たしてきている重要な役割も踏まえつつ、農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もつて国民に対する食料の安定供給の確保に資することを目的とする。
◆ 不動産登記との関係
不動産登記は、所有権などの権利関係を公示する制度ですが、
農地を売買・贈与・転用する場合には、登記の前提として農地法の許可を得る必要があります。
許可を受けていないと、登記自体ができない、または無効扱いになることもあります。
🐸農地法の許可が必要になる代表的なケース
農地法の許可が必要な場面は主に「所有権移転」や「用途変更」に関わる場合です。
以下のケースごとに見ていきましょう。
① 農地を売買・賃貸・贈与・交換等する場合(農地法第3条)
他人に農地を譲渡したり、貸したりする場合は、農地法第3条の許可が必要です。
例1:農家Aさんが隣の農家Bさんに田んぼを売る
例2:親が子に農地を贈与する
といった場合がこれにあたります。
許可権者は原則として、その農地のある市町村の農業委員会です。
ただし、面積や地域によっては都道府県知事の許可となることもあります。
② 農地を宅地などに転用する場合(農地法第4条・第5条)
農地を住宅や駐車場、工場用地などに変更する場合は、「農地転用」に該当します。
例1:農地に自宅を建てたい(第4条許可)
例2:農地を住宅業者に売って宅地化したい(第5条許可)
どちらの場合も、許可なく登記申請を行うことはできません。
🐸農地法の許可を取らずに登記するとどうなる?
農地法の許可を得ずに登記をしようとしても、法務局は登記を受理しません。
これは登記官が農地法の許可証などの添付書類を確認するためです。
さらに、もし許可を得ずに取引をしてしまった場合には、その契約自体が無効となるため、
「売買契約を結んだけど登記ができない」
「土地代を払ったのに所有権が移らない」といったトラブルになります。
農地法の許可手続きには数か月ほど要することが一般的なので、余裕をもって進めることが重要です。
🐸許可が不要なケースもある
以下のような場合には、農地法の許可が不要なこともあります。
・相続による所有権移転(自然発生的な権利移転のため)
・農地から除外された土地(地目がすでに宅地など)
・市街化区域内の農地で「届出」による転用が可能な場合
農地法の許可が必要かどうかは、土地の地目や登記内容だけでは判断できないことも多いです。
実際の現況や用途、都市計画区域の区分などを総合的に確認する必要があります。
農地を扱う登記は一般の土地取引よりも手続きが複雑なため、
不動産業者や司法書士、行政書士などの専門家に相談するのが安心です。
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スタッフ 上村