先日よりスタートした民法を学ぶシリーズですが、前回のブログ記事にて民法には大きくわけて5つの分野があるとお話ししました。
今回は民法第1編総則の意思表示に含まれる心裡留保について学びたいと思います。
意思表示に関する規定は「意思と表示のずれ」を扱う重要なテーマです。
民法の勉強を始めたばかりの方には、この意思表示の分野が苦手な方もみえるのではないでしょうか。
それでは、「冗談のつもりだったのに契約が成立してしまった」という事例から、民法がどう考えているのかを見ていきましょう。
心裡留保とは
心裡留保とは簡単に言うと、「本当はそう思っていないのに、あえてそう言った」という場合のことです。
つまり、“ウソの意思表示”をしたけど、相手には本気に見えたという場面です。
民法第93条(心裡留保)
意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。
2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
つまり、たとえ「ウソや冗談」で言ったとしても、相手がそれを本気だと思って信じたなら、契約は有効になるということです。
【具体例】
例①:土地の売買
Aさんが友達のBさんに、
「この土地を100万円で売ってあげるよ〜(冗談のつもり)」と言いました。
でも、Bさんはそれを本気で信じて契約書を作りました。
Aさんは本気ではない(心裡留保)
Bさんは本気で信じた
☆この場合、契約は有効になります。(Aさんが「冗談だった」と言っても通らない)
★ただし、例外あり!
相手が「冗談だと知っていた」場合はどうでしょう?
例②:相手も冗談だと知っていた
Aさん「この家、10円で売るよ(笑)」
Bさん「ほんとに!? 冗談でしょ!(笑)」
→ 両方が冗談だと知っていたので、契約は成立しません(無効)。
【 ポイント整理】
本気じゃない意思表示=心裡留保
相手が「冗談」と知らなければ、有効
相手も「冗談」と知っていれば、無効
さらに第三者が関わる場合は、その第三者が善意なら保護される(無過失までは不要)
→嘘をついた人の方が悪いので、相手に無過失までは要求されません。
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