民法を学ぶシリーズです。前回のブログ記事では心裡留保についてお話ししました。
今回は心裡留保に続きまして、民法総則の中から、錯誤について学びたいと思います。
錯誤とは
錯誤とは、簡単に言うと「勘違いして契約を結んでしまった」ということです。
つまり、本人が思っていたことと現実が違っていたために、正しい意思で契約をしたとは言えない状態です。
民法第95条(錯誤)
意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
1.意思表示に対応する意思を欠く錯誤
2.表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第2号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第1項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
1.相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき
※重大な過失とは…少し注意すれば簡単に錯誤を回避できたのに、それすらしなかったこと
2.相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
4 第1項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
★つまり、
契約のときに勘違いしていた
その勘違いが契約にとって重要な部分だった
しかも自分に大きな落ち度(注意不足)がなかった
この3つがそろうと、契約を取り消せる というルールです。
【具体例】
絵画の購入
Aさんが骨董店で「これはゴッホの絵です」と言われて絵を100万円で購入。
でも実際は偽物だった。
→ Aさんは「ゴッホの絵だ」と思って契約した。
→ 「ゴッホ作品であること」は契約の重要な部分。
→ Aさんに確認不足などの重大な過失がなければ、錯誤によって契約を取り消せる。
【 錯誤の種類(3分類)】
錯誤① 内容の錯誤(内容そのものを間違えた)
例:本物だと思って偽物を買った😢
お茶だと思って青汁を買った😢
土地の場所を勘違いした😢
錯誤② 動機の錯誤(契約の理由を勘違いした)
例:「娘のために買う土地」と思ったが実は別の土地だった😢
→ 動機の錯誤は「相手に伝えていた場合」に限り取り消せる可能性あり
錯誤③ 表示の錯誤(伝えるときに間違えて言った)
例:本当は100万円のつもりが、うっかり「10万円」と言ってしまった😢
【錯誤による取消を主張するには】
①表意者が目指していた目的だけでなく、社会通念に照らしてみても重要な錯誤であること
②そのような錯誤がなければ表意者は意思表示をしなかったであろうこと
上記2点を表意者が主張・立証しなければならない
※相手方が「表意者に重大な過失があること」を主張・立証すれば取消は阻止される。
【 錯誤による意思表示を取り消せない場合】
①勘違いが「契約の重要でない部分」だった場合
②自分の重大な過失(注意不足)による錯誤だった場合
→★上記②の表意者に重大な過失があっても取消ができる場合★
(こちらが民法の改正で明記されました。)
民法第95条3項
1.相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき
2.相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
以上、民法の錯誤についての記事でした。
お困りごと
お悩み事などございましたら
豊田市の司法書士
司法書士スパークル総合法務事務所へどうぞ🐰
スタッフ 上村