令和元年の会社法改正により、成年被後見人及び被保佐人(以下、成年被後見人等としています。)が株式会社の取締役、監査役、執行役、清算人、設立時取締役、設立時監査役(以下、取締役等としています。)に就任することが可能になりました。
成年被後見人等については、過去のブログにてご案内しておりますので、ご参考ください。
1.就任承諾のについて
民法では、成年被後見人等の法律行為について民法第9条、第13条第4項により取り消しが可能となっています。
◆民法第9条
「成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。」
◆民法第13条第4項
「保佐人の同意を得なければならない行為であって、その同意又はこれに代わる許可を得ないでしたものは、取り消すことができる。」
それでは、成年被後見人の取締役等への就任承諾も、この規定により取り消しが可能になるのでしょうか。
この点について、改正後の会社法(会社法第331条の2第1~3項、)では、成年被後見人等が取締役等に就任する場合、以下のような承諾の効力が確定的に生ずるような方法によらなければならないと規定しています。これらの方法によらないでした就任の承諾は、はじめから無効と考えられています。
【成年被後見人が取締役等に就任するための承諾方法】
成年後見人が、成年被後見人の同意を得た上で、成年被後見人に代わって就任承諾をします。
後見監督人がいる場合には、後見監督人の同意も必要になります。
◆会社法第331条の2第1項
「成年被後見人が取締役に就任するには、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をしなければならない。」
【被保佐人が取締役等に就任するための承諾方法】
保佐人の同意が必要になります。
また、保佐人が民法第876条の4第1項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人に代わって就任の承諾をする場合、保佐人が被保佐人の同意を得た上で、被保佐人に代わって就任の承諾をしなければいけません。
◆会社法第331条の2第2項
「被保佐人が取締役に就任するには、その保佐人の同意を得なければならない。」
◆会社法第331条の2第3項
「第一項の規定は、保佐人が民法第八百七十六条の四第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人に代わって就任の承諾をする場合について準用する。この場合において、第一項中「成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)」とあるのは、「被保佐人の同意」と読み替えるものとする。」
2.成年被後見人等の取締役等の資格に基づく行為について
成年被後見人等が法人の代表者として第三者との間で契約を締結した場合、その契約の
効力はどのような扱いになるのでしょうか。
成年被後見人等が代理人として行った行為について、民法102条では、行為能力の制限によって取り消すことができない、と規定されています。
◆民法102条
「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。ただし、制限行為能力者が他の制限行為能力者の法定代理人としてした行為については、この限りでない。」
この点につき、改正後の会社法においても、行為能力の制限によっては取り消すことができないと規定されています。
◆会社法第331条の2第4項
成年被後見人又は被保佐人がした取締役の資格に基づく行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。
以上、成年被後見人等の取締役等への就任についてでした。
行為能力の制限がある場合、ないときと比べて様々な面で手続きが増えることがあり、複雑に感じるかもしれません。
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スタッフ 藤川