現在の日本社会では、同居者が一人もいない「おひとりさま」が一定の割合を占めています。
頼れる家族や親族、パートナーがいない、または親族がいても疎遠になってしまっている方も少なくありません。
そのような「おひとりさま」の場合、今後の生活設計と万一の場合に備えた、危機管理を行うことが大切になります。
例えば、今持っている不動産や株式、その他の財産を徐々に換価し、老後の生活にあてたいと考えていたとします。
しかし、病気や事故などで意思能力がなくなり、ご自身の財産を管理できなくなる可能性もございます。
「おひとりさま」の場合、ご自身が管理できなくなってしまったら、誰も管理をしてくれません。
そのため、ご自身の財産の管理をしてもらったり、手続きを代わりに行ってもらう方法として、*成年後見制度を活用し、もしもの時の備えにすることも可能です。
*成年後見制度 に関しては、こちらのブログでご紹介させていただいております。
相続の観点から考える「おひとりさま」は、主に以下の2つが考えられます。
①法定相続人がいない
子供(直系卑属)、配偶者、親(直系尊属)、兄弟姉妹といった法定相続権をもつ相続人が一人もいない場合
②親族と疎遠になっている
子供、配偶者、親等の法定相続人はいるが、連絡が取れずに疎遠になってしまっている場合
今回は、①の法定相続人がいない場合に関してご紹介させていただきます。
子供や配偶者、親、そして兄弟姉妹も全くいないという「おひとりさま」においては、遺言書を作成することなく、亡くなられると、「相続人不存在」とされます。
相続人不存在となった場合の相続財産は、家庭裁判所が”相続財産清算人”を選任し、一定期間の公告を経て相続債権者や受遺者があれば弁済等を行い、
最終的に財産が残った場合は、*特別縁故者がいないかを判断します。
特別縁故者がいた場合は、家庭裁判所の判断などにもとづいて、財産を分与します。
* 被相続人と同一生計だった人、被相続人の療養看護につとめた人、被相続人と特別な関係にあった故人や法人のこと
最高裁判所によると、2021年度には相続人がいないなどの理由で、国庫に帰属される財産額が647億円となったそうです。
国家に帰属してしまうのであれば、
「自身が共感を覚えたり、活動を支援したいと思う個人や団体などに寄附したい」や
「お世話になった方に対する御礼の意味を込めて遺贈(寄附)したい」と考えられる方もいらっしゃいます。
その場合は、生前に遺言書を遺しておくことで、ご自身がどうしたいのかを遺された人に伝えることができます。
また、遺産を親族以外の友人や知人等に譲ることもできます。
当事務所では、遺言書作成業務も行っております。
何か気になることがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
丹羽