前回のブログで、古い抵当権と供託についてご紹介いたしました。
今回は、その古い抵当権「休眠担保権」の抹消手続きについてご紹介いたします。
■「供託利用の特例」と流れについて■
休眠担保権の抹消のために、特例としてこの供託制度の利用が認められています。
この制度は、
- 過去に実際に返済がなされたかどうかは関係なく、調査の必要もない
- 債権額は、現在の価値に換算しない
- 抵当権者の所在が知れないことを確認できれば、制度を利用できる(例 配達証明付郵便等が返送されてくれば足りる)
といった特徴があります。
債権額を現在の価値に換算する必要がない、ということは、記載されている債権額自体が数十円や数百円の場合、利息・損害金を合算しても、供託金の額は数百円から数千円程度で済みます。
休眠担保権抹消のための「供託利用の特例」の場合は、納めた供託金は返却されませんが、裁判を行うよりもずっと安い金額で迅速に処理を進めることが可能です。
法務局内にある供託所に事前に供託金額を確認し、無事手続きと納付を済ませたら、抵当権に記載されている借入は「弁済(借金を完済)」したことになります。
供託完了後、あらためて抵当権の抹消登記申請を行って、古い抵当権が抹消されます。
その後に、不動産の売買を行うというケースが多いです。
まとめると、古い抵当権の抹消~売買までの手続きとしては、以下のようになります。
■「供託利用の特例」の注意点■
この特例の利用に関しては、いくつか注意点があります。
① 弁済期から20年以上経過している休眠担保権に限る
② 債権が金銭以外の場合で、価格が登記されていない場合は利用できない(明治時代などには「玄米○石○斗 価格金○円」という登記が時々あるそうです)
③ 現在の所有者や関係者が、当時の抵当権者やその相続人を知っている場合は利用できない(例えば、当時の抵当権者が親族であることを知っている場合などは不可)
④ 担保権の中でも、譲渡担保権など利用できない種類もある
⑤ 古い抵当権であっても、登記されている債権額が数十万円などと高額な場合、供託金も高額となるので、この制度を利用するかどうか再考が必要
上記のような場合や、当時の抵当権者に宛てた手紙が受領されてしまった場合は、裁判など他の方法を検討する必要があります。
不動産登記の機会は、家を買ったときや親から相続したときなど、人生に数回程度の方がほとんどでしょうし、こういったイレギュラーな場合は、進め方がまったく分からなくても当然のことです。
不動産登記に関してご不明な点等ございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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スタッフ 斉藤