寄与分制度とは、被相続人の相続財産の維持や増加に関して、
特別の寄与(貢献)をした相続人に対して、遺産の中から寄与部分に相当する財産を取得させることにより、共同相続人間の公平を図ろうとするものです。
寄与(貢献)したと認められる場合の例をいくつかご紹介させていただきます。
①被相続人の事業に関する労務の提供
被相続人が生前に行っていた事業を相続人が無休、又は無休に近い状態で手伝うなどしていた場合には対象となることがあります。
②被相続人の事業に関する財産上の給付
被相続人が生前に行っていた事業に対して、相続人が自己資金を提供、事業に関する借金を代わりに返済した場合には対象となることがあります。
③被相続人の療養看護
被相続人が病気・老齢等の理由により、身体的・精神的に看護が必要になった場合に、
特定の相続人が長年看護をしたことにより、看護費用の支出を抑えることができ、被相続人の財産の維持に貢献したような場合には対象となる場合があります。
寄与分を主張できる人は?
寄与分を受ける事が可能になるのは、共同相続人に限られます。
その為、直系尊属(父・母・祖父・祖母)や兄弟姉妹も共同相続人になる場合には寄与分が認められることになります。
寄与分を主張できない人は?
内縁の妻や、先に死亡した長男の妻など、共同相続人ではない人、
相続欠格・相続廃除・相続放棄をした人は相続人になる資格が無い為、
寄与分を主張する事ができません。
寄与分の具体的な計算方法
算定方法を全部で3段階あります。
①被相続人の相続開始時の相続財産価額-寄与(貢献)した相続人の寄与分額である「みなし相続財産」を算出します。
②みなし相続財産×各相続人の法定相続分
③②で算出した具体的な相続分+寄与分
となります。
(例)
被相続人である父が死亡し、相続人が、妻・長男・長女の3人います。
被相続人の相続開始時の相続財産が6,000万円、長女の寄与分が1,000万円あった場合、
計算は下記の通りになります。
①みなし財産=6,000万円-1,000万円=5,000万円
妻:法定相続分は2分の1
長男:法定相続分は4分の1
長女:法定相続分は4分の1
となることから
②
妻:5,000万円×2分の1=2,500万円
長男:5,000万円×4分の1=1,250万円
長女:5,000万円×4分の1=1,250万円
③
長女
1,250万円+1,000万円(寄与分)=2,250万円
よって、寄与(貢献)した長女は2,250万円貰えるということになります。
被相続人が亡くなるまでの間、献身的に介護をしたのに、
相続人ではないが為に、何も遺産を残してもらうことができなかった・そうなってしまう恐れがある方
他にも兄弟がいるが、生前の親の介護を自分だけが献身的に行った。
しかし、兄弟間での法定相続分は同じの為、他の兄弟と同じ割合しかもらえず納得ができない方・そうなってしまう恐れがある方
など・・・
そんな時には、寄与分制度が適用できるかもしれません。
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スタッフ 丹羽