2019年4月23日 6:06 pm

「推定相続人の廃除」という制度が民法上認められているのを皆様はご存知でしょうか?

その名の通り、被相続人の方が、民法892条の定めるところにより相続権を持つ人間に著しい非行の事実がある場合に、家庭裁判所に「推定相続人廃除審判申立て」をすることにより推定相続人の持っている遺留分を含む相続権を剥奪する制度のことを意味します。

本人が生前に家庭裁判所へ申し立てることでも可能ですが、遺言によって排除することも民法上では認められています(民法893条)。

 ただしこの制度は、相続人に最低限認めらている強力な遺留分までも剥奪する制度であるため、家庭裁判所は簡単には認めてくれません。ほとんどが、「本人の一時の感情でしょう?」と考えられてしまい、その審査基準は、客観的に非行や虐待の証明が認められない限り、大変厳しいものとなっています。

 覚えておくべき制度上の注意点は3つあります。

①廃除の対象者は民法1028条により遺留分が認められている被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に限られること。

②その相続人(廃除対象者)に子がいる場合には、結局その子供に相続権が移行されることになる(代襲相続)。

③家庭裁判所はこの申立てに対し慎重に審議する傾向にあり、実際に相続廃除が認められた事例はそれほど多くない。

 

 以上から、民法上では確かに認められているものの、実務上では訴訟の内容を帯びた審判になるため、スムーズに排除の結論を勝ち取るのは難しいようです。

そういった場合には、最低限遺留分程度の財産を遺言で指定しておいたり、実際に遺留分減殺請求された時の反論材料として、遺言や対象相続人の侮辱や非行を客観的に証明できる資料を整えておく等の対策が考えられます

 

司法書士 永田

 

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