2019年4月23日 6:33 pm

最近、お客様から下記のようなご質問がありました。

「遺産である不動産から生じた賃料収入は、遺産分割協議成立までの間、誰のものになるのですか?」

 

結論からお答えしますと、①相続開始後から遺産分割までの間の賃料債権は,法定相続人が法定相続分に従って取得します。②遺産分割後の賃料債権は,その不動産を取得した相続人が取得します。

 

民法上では、遺産分割の効力は相続開始時に遡ってその効力を生ずるとされているため、不動産を取得した方が賃料の収益を得られると考えがちですが、実際は異なり、下記の判例があります(最判平17.9.8)。

①相続開始から遺産分割までの間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生じる賃料債権は,遺産とは別個の財産であって,各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得する。②各共同相続人が相続分に応じて賃料債権を確定的に取得することは,後になされた遺産分割の遡及効による影響を受けない。

 

つまり,賃料債権は,遺産分割協議成立までの間、不動産を相続する者が取得できるものではなく,法定相続人が法定相続分に従って取得することになるのです。家賃が高い場合や、遺産分割協議成立までに時間を要した場合には、その点にも留意して相続人間での協議を進める必要がございます。

 

司法書士 永田

 

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